大学院特別講義第4回
【タイポグラフィーとデザインの思考 中垣信夫氏】
文字の歴史を読み取ることで時代の変遷をある程度理解することが可能であるということ。
元来、文字が生まれた理由は、社会が大きくなったからだと考えられる。
なぜなら、社会が大きくならなければ、声つまり音でのコミュニケーションで全て済ませることができるからである。
ゆえに、文字が生まれた理由は、社会が大きくなったからであり、国家が生まれたからであり、言葉を記録する必要が出てきた為である。
のちに、後世に伝統や文化を伝えたいという思いにより文字が文章化され、書物化された。
それゆえ、本が多く生まれ、本から科学革命につながり、科学革命が産業革命に繋がり、産業革命により広告が生まれた。
よって、文字を読み取ることは、時代の変遷を理解することに繋がる。
また、日本語は、カタカナ、ひらがな、漢字を組み合わせで言語が成り立っている言語である為、表現の幅が広く人によって様々な表現が可能である。
文字の歴史を理解することで時代の変遷を理解できるということは、文字だけではなく、言葉の言い回しや、ネーミングの流れ等からも時代の変遷を理解できると考えられるということなのではないかと私は考える。
近年、フォントを作成する際には、パソコン等の電子機器を用いて作成されている。
これには、機械が発展したことが、大きく関係している。
しかし、機械が発展することは必ずしも良いこととは言い難い。
なぜなら、文字やフォントを作成する際これまでは、必ず人の手が介入する部分が存在していたが、現在は、人の手を介さずに作成することができるからである。
しかしながら、ローテクにはローテクの良さがあり、モノを作る際に人の手が介入べきなのである。
したがって、人間の手で書体を生み出すことは、放棄したと言える。
ゆえに便利になるということは、すべて良いことではないのである。
このまま歴史が進んでいった場合、人間が機械に支配される時が来る可能性があると私は考える。
なぜなら、機械の発展につれて、人間が介入する部分が減少し、最終的に人間の仕事が完全になくなってしまうかもしれないからである。
仕事が完全になくなってしまったら、機械を神として崇めてしまうのではないかと私は考えるからである。